冷泉荘には本当にさまざまな国の音楽が集まってきておりますが、今年は特にすごいです!
1月〜2月には九州大学リベラルアーツ講座として、韓国の伝統打楽器・チャング(講師:チャング奏者Bae Youngjinさん)、雅楽の楽器・笙(講師:笙奏者 石川高さん)、インドネシアの金属打楽器オーケストラであるガムラン(講師:ガムラン奏者・研究者 森重行敏さん)、義太夫三味線(講師:義太夫三味線奏者 田中悠美子さん)と、アジアの楽器が冷泉荘に集まって、毎週音楽講座が開催されました。
韓国の伝統打楽器・チャング
雅楽の笙
インドネシアのガムラン
義太夫三味線
ちょこちょこレンタルスペースを利用していただいている陣美奈さん(安冨祖流)の歌三線教室(おきなわ古典音楽講座)もレッスンの回数が増えてきています。
そして、3月14日(木)にはインドの弦楽器・シタールによるインド音楽ワークショップ(講師/演奏:シタール奏者 ヨシダダイキチさん)、そして3月23日(土)にはアフリカの親指ピアノ・サカキマンゴーさんのLIVE!
ヨシダダイキチさんのシタール(すみません!写真を撮り忘れてしまいました。。。)
こちらは、2012年6月9日のヨシダダイキチさん(シタール)とアルナングシュ・チョウドリィさん(タブラ)のLIVEの写真。参考までに。。。
サカキマンゴーさんの親指ピアノLIVE!(写真:テトラグラフ写真室 雨宮康子さん)
アジア〜アフリカの楽器は、ギターやピアノなど西洋の楽器とは違い、ハーモニーではなくメロディやリズムが重視されます。ひとつの楽器で複雑な(サワリなどコントロールできない)音が出たり、音階の間の音が容易に出たりできるようになっており、メロディーがさまざまなかたちで装飾されます。イメージとしては、マスゲームのように統制のとれた形で全体の調和をはかるのが西洋音楽のオーケストラとするならば、都市の交差点やロータリー交差点(ラウンドアバウト)のように個々は自由にふるまっていながらも信号などリズム的大枠のルールがあって全体的に調和のとれている状態がアジア〜アフリカの楽器といえましょうか。楽譜でみてみますと、西洋音楽ではきめ細かな指定があるため楽譜の枚数がたくさんですが、アジアの音楽では楽譜はシンプルで場合によっては1枚の紙におさまるくらいです。どちらも、音楽的にも楽譜的にも、考え方的にも、それぞれの美しさがあります。
裏庭から冷泉荘の建物をみると強くアジア〜!という雰囲気を感じますが、レトロビルにはこうしたアジア〜アフリカの音が似合うような気がします。お隣の音や、外の音、部屋の中の排水管の音までも当然のように入り混じってくるレトロビル。アメリカの現代作曲家・ジョン・ケージにもかなり影響を与えた禅の師匠・鈴木大拙さんはアメリカでの講義で窓をあけたまま小さい声で喋ってなにを言ってるのか分からなかったが特にそれを気に留めることもなかったとのお話が残っています。そういう思想がすでに入り込んでいるアジアの音楽(そしておそらくアフリカも)が、すでにいろいろとがちゃがちゃなりながらもなんとなくまとまっている(ようでまとまっていないかもしれない)冷泉荘のようなレトロビルととても相性が良いのだと思います。
ぼくも、民族楽器が大好きで廃材楽器のプロジェクトではいつも先人たちの智恵に驚きながらいろいろと参考にしています。民族音楽のメッカになっちゃうくらい、もっとたくさんの音楽が冷泉荘にあつまるといいな〜!