黄金町バザールにてエオリアン・ハープづくりのワークショップ!

横浜の黄金町にて開催中の黄金町バザール。以前の冷泉荘日記のなかで、エオリアン・ハープを設置中との記事を書き、黄金町の魅力とその活動を綴りましたが、今回は展示をより一層楽しんでもらえるようにとエオリアン・ハープづくりのワークショップを開催してきました!自分で木を選び、加工し、自分のエオリアン・ハープを作ります。そして、すばらしい風の吹く大岡川の橋の上で、みんなでそれぞれのエオリアン・ハープの響きを楽しみました。

こちらが、キット。木材の箱を作って、琴のように弦を張り、ふたをつけて完成です。最もオーソドックスなタイプのエオリアン・ハープです。

自己紹介をして、なぜエオリアン・ハープなのか、いきさつをお話。今回の黄金町バザールは、ぼくの先輩方が「生成音楽ワークショップ」という音楽が生成される現象・過程を、先人たちの作品や楽器から体験するワークショップをしており、バザール出品作品として展示を行なっています。「生成音楽ワークショップ」では、これまでにスティーブ・ライヒのペンデュラム・ミュージック(振り子の音楽)やアルヴィン・ルシエのロング・シン・ワイヤー、リチャード・ラーマンのトラヴェロン・ガムランに引き続く形でエオリアン・ハープが選ばれ、ぼくを招いての展示となっています。ライヒの振り子の音楽は、藤枝守先生の授業のティーチング・アシスタントでぼくも作品の再現を手伝っていたり、ルシエのロング・シン・ワイヤーはエオリアン・ハープ的な作品としてぼくの論文でも取り上げております。さらに、トラヴェロン・ガムランの真似事として、ぼくの自転車にはスポークをはじくものをとりつけていたりしており、過去の生成音楽の活動からエオリアン・ハープに引き継がれる流れに強いシンパシーを感じています。特に、ルシエとは類似の体験を、異なる現象の中から感じることができ、エオリアン・ハープの体験がさらに興味深く感じられるだろうと思っています。

さて、そういったいきさつとともに、エオリアン・ハープに関する歴史的な展開、発音原理をお話し、まったくエオリアン・ハープの音がどういったものかを聴くことなくエオリアン・ハープのことを話し、いったいなんなんだ?という疑問をたくさん抱かせた上で、制作に入ります。

まずはお気に入りの木材を選び、一番重要なチューニングピンをねじりこみます。それからボンドでどしどし木材を固定して箱を作ります。

場所は階段広場。階段のようになった部分が特徴的な高架下のスペースで、半屋外な空間で制作です。電車の通る音と、電車の産み出す風が特徴的な場所です。みんな集中して作っていきます。

製作時間はおよそ3時間。

最後に弦を張り、鳴るかどうかのチェックで、まずは走ってみます。自分が風になることで、どのくらいの風が必要なのか、風の強さを体感します。

そして、非常によい風、強く一定の風が吹く大岡川の上の橋でみんなでエオリアン・ハープを並べてみます。

立てたりして、どしどし聴いていきます。

みんな、鳴った!

エオリアン・ハープは、生の音を聴いてみると、ぐっと印象が変わる不思議な楽器です。どことなくふいに現れるエオリアン・ハープの響きは、さらに日常的な状況におかれることでますますその”ふいに現れる”性質を強く感じさせます。

未体験の方には、ぜひとも体験していただきたいなぁと思います。

黄金町では、黄金町バザール開催期間中、ワークショップで作られたエオリアン・ハープの貸し出しが行われております。また、冷泉荘にもひとつ、エオリアン・ハープのキットを置いております。気軽に借りることのできるエオリアン・ハープは、おそらく日本では黄金町と冷泉荘だけでしょう。ぜひとも、紀元前から人々を魅了し、魔法や伝説とまでされていた”風の神さまのための楽器”の響きを、体験してみてください。

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