変化する卓球センター【珪藻土塗り】

最近A棟3階に移動した冷泉荘卓球センターですが、日当たりが他の部屋よりも強いのか、しばらく閉めておくと独特なにおいがたまります。床の木のニスのせいでしょうか?どことなくケミカルな成分が含まれているように感じ、ぼくはあまりこのにおいが好きではないのですが、どうもオーナーさんもこの部屋には何かを感じているよう。春すぎに、僕も関わっている九州大学感性学府+芸術工学府 藤枝研究室によって、九州大学箱崎キャンパスの教員部屋のひとつが、壁と天井に珪藻土が塗られて「珪藻庵」へと姿を変えました。作曲家藤枝守先生(ぼくの先生です)のアイディアで、多孔質な珪藻土の性質が、湿度によって吸音率が変わるのでは?音の残響時間をナチュラルに可変することができるのではないか?との考えに基づいて実験の場として作られたことが発端です。

珪藻土には、吸音・脱臭・調湿・保温・断熱…とうれしい効果がてんこ盛りです。植物性プランクトンの死骸が体積して形成された土で、そのために多孔質となっております。それぞれの孔が高湿のときには湿気を吸い、乾燥してくるとためこんだ湿度を蒸発させ、調湿します。珪藻土が「呼吸する壁材」と言われる理由はここにあります。そして、多孔が吸音在として機能し、炭のようににおいも吸収します。また、多くの孔には空気が入っているため、全体として空気の層として断熱・保温にも効果があるのです。七輪の素材として、珪藻土が使われていることからも、その効果は認められると思います。

さて、かなりメリットの多い珪藻土。思いつくデメリットは、土壁なのでポロポロ崩れやすい部分もあり、掃除が若干大変ということくらいでしょうか。あとは、珪藻土特有のにおいがありますね。変なにおいではないですけど。この珪藻土を、素人でも塗りやすいものへと研究を重ねたのが、日本ダイヤコム工業の山本さん。水と混ぜるだけで、簡単に塗ることができます。

「珪藻庵」で珪藻土の効果を体験できますが、やはりもっと長時間、この空間に入り込まないと珪藻土の魅力を実感できません。そこで、なかなか入居申し込みのこない卓球センターの壁に珪藻土を塗ってみようということになりました。汗を流す空間、体を動かし、神経を鋭敏にする空間においてこそ、珪藻土の魅力に近づけると思います。

塗ってみた。

とある勉強会で、自分たちでできる壁塗り体験として10名ほどで珪藻土塗りに挑戦。はじめてながら、さささっと塗り進めていきます。壁1面が目標でしたが、1時間半ほどで塗り終わりました。

風通しのとても良い部屋で、窓を開けているとものすごく気持ちがいいのですが、珪藻土を乾かすには、じっくりとかわかさないといけないとのことで、窓を閉めきって乾かします。珪藻土のペースに合わせて乾かすのです。おそらく、多孔質かつデコボコな表面なので、表面積的にはかなり大きいもので(おそらく理論的には無限大)、そのぶんさささっと乾くため、早急に乾かすととてもはやい速度で乾いてしまい、定着せずに崩れやすくなってしまうのではないかと考えられます。

そして、ゆっくりと、乾かして、今日の様子がこちら。

まだら模様が素敵!

いい雰囲気の卓球センターに!

近づいてみると。。。

土の地面のようにも、グランドキャニオンを上空から眺めたような乾燥した大地の景色にも見えます。縮尺のまったくわからない表面。拡大しても縮小しても同じような状態で自己相似形であるフラクタルを思い起こさせます。

色の濃い部分に肌を近づけると、そのあたりだけしっとりした空気に感じます。雨の日は、色が濃くなったりしそうですね!壁の色が、そのときの湿度で変わる。たのしい毎日を過ごせそうですね。

明日以降、どのように壁の色が、部屋の空気感が、変化していくのか気になります。

また、珪藻土は、何度かにわけて少しずつワークショップ的に塗り進めていく予定です。

現在は1面だけですが、見学もできますし、無料で卓球もできますので、ぜひ珪藻土の壁を見に来てください!

(管理人2号 杉山)

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