NPO法人 福岡ビルストック研究会・吉原住宅共催
第3回「未来のビンテージビルまち歩き」(アラビン)参加レポート
日 時 9月12日(土)15時~17時
場 所 冷泉荘~国際紙パルプ商事ビル前~かもがねビル~福岡製粉会館前~
(順 路) 蝶和ビル~冷泉荘
参加人数 15名 同行スタッフ 吉原理事長、池田、宇野(報告者)
当日は昼過ぎまで雨でしたが、ちょうど開始時刻前には雨もやみ、晴れ間が広がり始めたところで、冷泉荘を出発しました。
途中、冷泉公園で交差点に面した将来のビンテージビル候補の取り壊しが決まった事を惜しんだ後、一行は最初の見学先、「かもがねビル」(築約45年)に向いました。室内では一級建築士の信濃先生から「一尺」の高さの鴨居が視覚的に部屋を実際以上に広く見せる効果を出しているとの解説があり、一同は、なるほどと頷きました。
パーツ類は新築された当時の暮らしの名残を残しています。
今回は特別に同ビルのオーナーのご厚意により、築百年近い木造のご自宅を併せて見学させていただきました。
畳を持ち上げると、太平洋戦争当時に作られた防空壕が姿を現します。
オーナーより、戦争中、櫛田神社等の歴史的建造物を空襲による火災延焼から守る為、区画整理により街が大きな道路で分断されたこと。
その効果もあり、ご自宅周辺は空襲による焼失から免れ、古い街並みが残ったことが語られました。
その後、一行は路地歩きを続け、道すがら「福岡製粉會館」前で立ち止まり、今では見られない珍しい造形を楽しみ、最後の見学先「蝶和ビル」(築38年)に到着しました。
ビンテージビルに成り得る建物に特徴的な「木の手すり」がしつらえられた階段を上り、部屋に入ります。
天井がフラットではなく屋根状に傾斜していたり、風通し用と思われる小さなドアと飾り格子(建物の外観上のアクセントにもなっている)がユニークでした。
オーナーはまち歩きにも同行して下さり、ビルの説明をしていただきました。
今回のまち歩きで見学した「かもがねビル」、「蝶和ビル」はいずれも建物外観は洋風ですが、室内の造作は伝統的な日本家屋を手がけていた職人さん達が施工したものと推察され、随所に遊び心が感じられました。
そして二つのビルに共通するのは“風通し”が非常に良好である点です。
周囲に高いビルが密集していない環境が保たれていることもその一因だと思われます。
レトロ物件が持つ魅力を“身体感覚”で味わおうというのが今回のテーマでしたが、ほぼ目標を達成できたように思われました。
冷泉荘に戻り、本日の感想を参加者の皆様からお聞きした後、今回のイベントを共催した福岡ビルストック研究会 吉原理事長から
福岡・博多の「ひと」「まち」「文化」を大切にしたいというメッセージが伝えられました。
毎回好評の「未来のビンテージビルまち歩き」、まだ参加されていない方は、次回開催時にぜひお越しになりませんか?
皆様のご参加をお待ちしております。
宇野(報告者)
(次回開催日が決まりましたら、本ホームページ等でお知らせいたします)