イベントレポート
2010/7/28
開催日 2010/7/17
冷泉荘恒例のイベント、「冷泉アート夜話」。冷泉荘A41号室に事務所を構えている詩人の渡辺玄英さん主催のイベントです。今回は、音楽や楽器を研究(九州大学大学院芸術工学府藤枝研究室)しているお二人、渡辺融さん、杉山紘一郎さんが 講師です。(因みに杉山さんは冷泉荘の管理人もしています!)
テーマは、「空気の流れを巧みに取り入れた古来の楽器や音を聴くことによって、音の捉え方を考える」ことです。講師のお二人は土笛(土を様々な形に固めて笛にしたもの)とエオリアンハープ(張った弦を風の音によって鳴らす楽器)という歴史の古い楽器を専門とされています。
まず講師のお二人がお話されたのは、「音楽との付き合い方」。それはお二人の研究室のスタイ ルとも言えるでしょうか。聴きたい音を求めて創りだすのではなく、自然にあるものを受け入れ、受け入れ方法を考える。その在り方も音楽であるとのことです。一つの例として、自然から発生する音楽を紹介していただきました。
珪藻土の塊を水槽に入れて発生する泡をマイクで拾って聞くと、様々な場所からでる泡の音がいくつも重なりあうことで、低音から高温まで多重の音が重なりあいます。自然発生的に聞こえる音に、参加者の皆さんも水槽を囲んでじっと耳をすましていました。泡の音に耳をすまして音楽を感じている姿こそ、音を受け入れた姿だったと思います。
そして、話は次第にお二人の専門の楽器の話になっていきます。
話の内容はとても幅広く、実演から、それぞれの楽器の持つ原理、その歴史的背景の解説までありました。参加者の皆さんも、歴史の壮大さには驚き、原理には頭をひねり、実演には感嘆の声をあげていました。

杉山さんが専門としているエオリアンハープでは、風が弦をどう振動させて音を発生させるかといった原理の解説(これが実に科学的なのです!)から、実際になっている音を録音したものを紹介して頂きました。その音は電子音に近く、参加者の方からも「決して気持ちのいい音ではない」 と言った声も出されましたが、それはまさに風の側面を写し取ったものだからでしょう。
渡辺融さんの専門の土笛では、実際に渡辺融さんが制作した多数の土笛もあり、参加者の皆様も多様な音に驚きの声を上げていました。土笛は古代から世界各地(なんと日本、福岡にでもです!)に存在していたそうです。そこで、渡辺融さんがおっしゃっていたのは、土笛には呪術的な意味や、動物と人間をつなぐ役目を持っていたとの事でした。実際に、渡辺融さんも森で土笛を吹いていて、梟を呼び出したといったエピソードがあるそうです。
その他にも、様々な楽器を紹介していただきましたが、どの楽器も共通しているのは、空気の流れを音として感じられることです。参加者の皆様もその様々な楽器に触れて、実際に音を出していました。吹いたり、回したり、叩いたり。古代から存在する楽器で演奏し、同じ音を楽しんでいる光景は、まさしく楽器を通じて皆さんが古代と確かに繋がった瞬間だと思います。
また、一つ印象的な言葉があります。杉山さんが言った「エオリアンハープは一定の風が吹かないと鳴らない楽器。エオリアンハープの前に座り風をじっと待つことで、その周りの環境、音を感じ、受け入れることができる」という言葉です。これは「音」を聴くことで、その他のモノとも繋がっていくことができるということでしょう。
そして、講師のお二人が発する言葉、音楽によって、参加者の皆さんが驚き、歓声をあげる。それはまさしく講師の方々が話されていた楽器(=音)の持つ力を体現するものでした。一つの楽器を中心に、自然と私たち、古代と現代、そしてその場の人々が繋がっていく。その流れこそが音の持つ力なのだと感じました。
牛島 光
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2010/7/11
■期間:2010年6月9日(水)~30日(水)
■来場者数:約100名
春のイベントで、テトラグラフさんとワークショップを行った山本育也さん。
このイベントがご縁で、冷泉荘ギャラリーで展示を行っていただくことになりました。
今回のテーマは家族イス。使用している部材はバーンウッドと呼ばれる廃材が中心です。

一家の主お父さんのイスは肘置きが付いているどっしりとしたもの。家庭を預かるお母さんの
イスはどこか柔らか味がある。子どもの椅子はやんちゃをしても壊れないしっかりしたもの。

更に、お父さんのコレクションや子供のおもちゃ入れに良さそうなラックや、お母さんのための三面鏡など、
家族が喜ぶ家具も並べられ、アットホームな雰囲気のギャラリーになりました。


■
山本育也さんのホームページには、バーンウッドという素材への思いが書かれています。時を経てつくられた形や色。つまり自然が作り出したものです。
人が手を加えるのは最小限。
なぜかやさしい表情の家具たちは、再び生まれ変われた喜びからくるのでしょうか。
また是非ワークショップ等開催していきたいと思います。
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2010/7/05
吉田初三郎が描いた鳥瞰図の展示が終りました。
NPO法人福岡ビルストック研究会主催にて開催された本展示は、冷泉荘ギャラリーにて2010年5月1日から5月31日
まで開催されました。
本企画は、アソシエ益田啓一郎氏との出会いから始まりました。
実に40点にも及ぶ鳥瞰図と美人画は、圧倒するものがありました。
大神宮横町という博多の路地に面した冷泉荘のギャラリーは、窓を潰さず開かれたギャラリーです。
会期中はどんたくも開催され、初三郎氏が描いた時代と変わらない祭事と、かわってゆくまちなみが実感できました。

主に昭和初期の福岡市をはじめ、近郊の都市の鳥瞰図が多く展示されました。
どれも美しいまちなみ。
吉田初三郎氏の鳥瞰図は、クライアントの意向を的確に捉え、わかりやすく、その土地の特徴を的確に表現し、どこかユーモアで人間味あふれるものです。
5月7日には、企画者の益田啓一郎氏をお招きしてトークライブが開催されました。

初三郎氏は単に意匠やネームバリューでまちを切り取ったのではなく、現地を何日もかけて歩き、そのまちの中で特徴ある建物をスケッチしたそうです。
つまり全国的に有名なデパートや著名な名刹だけではなくて、そのまちを歩くときにランドマークとなるようなものを鳥瞰図の中に配置していったのです。
それは即ちまちを歩かないとわからない事。
この初三郎スタンスを象徴するような鳥瞰図があります。
広島の原爆投下時のものです。
私たちはきのこ雲が上がる様子を想像すると思います。
初三郎氏は原爆投下後、広島を数ヶ月かけて歩き回り、被爆者への聞き取りをしました。
その聞き取りを基に出来上がった鳥瞰図は、原爆投下直後の広島の様子です。
この図に描かれている様子は、私たちが見たことが無いものでした。
※アソシエ益田さんが出版している『美しき九州~「大正広重」吉田初三郎の世界』に掲載されています。
全国各地の行政や企業から鳥瞰図を依頼され、描き続けた吉田初三郎氏は、後にこの国の観光資源の豊富さに気が付き、観光をビジネスにすることを考えます。まだ観光という言葉があまり認知されていない時代です。
全国の観光地を紹介した雑誌も発行します。
観光大国の先駆けとなったのです。
簡略的に紹介しましたが、今回の展示においてこの吉田初三郎さんの本質に迫ることができました。
更に、都市として急激に発展した福岡。
この鳥瞰図に描かれている時代から数十年しか経過、マッチ箱のようなビルディングが乱立しました。
初三郎さんが現代社会を描いたらどうなるのか。
美しく描けるのか。
この美しさの背景は、まちを構成する建物自体が美しく見えているだけではなくて、そこに暮らす人々やまちに対する愛情からくるのではないか。吉田初三郎さんの展示を通して、私たちはもっとまちを鳥瞰して愛情もって住む(働く)べきだと感じました。
■来場者:約100名
■来場者の感想(一部抜粋)
・子供が、うちは何処?と探していました。
・母校奈良屋小学校があって良い思い出です。
・九州一円の観光、興味がわいて来ました。
・初三郎、初めて知りました。
・写真とは違う魅力、再発見しました。
等々
レポート:管理人山本
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2010/5/16
冷泉に棲むことば~詩のしっぽをつかまえろ!~ レポート
■展示:2010年3月5日~31日 B14号冷泉荘ギャラリー
■2010年3月13日(土)
16:00~17:30 リノベーションミュージアム冷泉荘A13号多目的室
■イベントスケジュール
平地氏の詩の朗読→平地氏による、松本秀文氏の詩の朗読→松本秀文氏による詩の朗読
休憩
平地氏の詩の朗読→平地氏+徳永昭夫氏によるトーク→平地氏の詩の朗読→歓談
■集客
約20名
■展示・朗読・トークイベントの感想
・朗読で平地さんの詩に息が吹き込まれた気がします。
・初めての詩のイベントでしたが、とても面白くてあっという間の90分でした。空間と一体となったイベント
に参加できて嬉しく思う。
・気持ちが落ち着きました。
・詩の一つ一つが存在感があり、生命力を感じた。
・詩の朗読会、面白いですね!良い刺激を受けました!
・静かな空間で詩と向き合えて幸せでした。
等
■管理人のレポート
NPO法人福岡ビルストック研究会が主催で開催されたこの展示は、
レトロビルと文学の融合を試す場でもありました。
先に開催された詩の公募「冷泉ことば空間」での受賞副賞としての企画個展の位置づけで開催された今回の企画は、
ことば空間で審査員を務めていただいた渡辺玄英氏をアドバイザー、ことば空間企画者の徳永昭夫氏を企画アドバイザーと設営、
ことば空間企画協力者の松本秀文さんを企画アドバイザーとコラボ朗読、ことば空間ビジュアル担当池田氏を同じくビジュアル担当
として迎え、企画を進めました。
平地氏は普段はプログラマーとして働いています。プログラマーといえば夜も遅くなる仕事です。
つまり打ち合わせも夜を中心に行われました。

平地氏の立会いのもと、設営をしました。
冷泉荘のギャラリーは、一般のギャラリーとは違って窓があります。
前の大神宮横町や裏庭の樹木が揺れる景色が、築50年を超える昭和の文化アパート独特の雰囲気となっているからです。
そしてその雰囲気に合う作品を展示したいとの思いがあります。


今回の展示は、静かな冷泉荘の空間と相俟って深く入り込めるものとなりました。
また平地氏初となる朗読イベントでは、松本秀文氏も加わり盛り上がりました。
例えるなら静の平地氏・動の松本氏、あるいは女性的な平地氏と男性的な松本氏。
更に徳永氏によるトークライブでは、平地氏の詩に対する思いや制作の現場を知ることができました。

それにしても昔から古い町や古い建物に文学者達がつどっていた気がします。
なぜレトロビルと文学?
後日、管理人は平地氏に聞いてみました。
「古い建物にはそれだけの歴史がある。冷泉荘も様々な人々の営みがあったはず。それだけ建物にことばや空気が積もっている。
だからインスピレーションを受けやすい」とのことでした。
レトロビルの可能性というか、潜在能力というか、レトロな空間と作品が相乗効果で伝わる企画となりました。
管理人自身も、冷泉荘で文学を楽しむ豊かな時間を過ごせた気がします。
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2010/3/04

2010年2月10日(水)から2月28日(日)まで冷泉荘ギャラリーにて
「山王マンション改修の写真 さいせいのきろく展」を行いました。



山王マンションは福岡市博多区にある築42年の賃貸マンション。
45室ある住居のうち、27室がリノベーション工事を終え、福岡における賃貸リノベーションのパイオニアとして常にシーンをリードしてきました。
この写真展は、同マンションで行われた改修工事の様子を、同マンションに入居するフォトグラファー日髙康智氏が撮影した約100枚の写真を展示。
これから迎えるビルストック時代に必須な改修工事。
建物を使い続けていくためには、建物の所有者、そこで生活する入居者、建物と向き合う職人。それぞれが理解し、協力することが必要です。

期間中、約100名ご来場いただき、みなさん、それぞれが感じるままに、メッセージを書いてくださいました。ありがとうございました。
メッセージをしっかりと受け止め、今後のビルストック活動に役立てていきます。
また、冷泉荘ギャラリーでは今後さまざまな企画展が行われます。随時冷泉荘HPにてお知らせいたします。お近くにお越しの際は是非お立ち寄りください。
関連ページ
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