冷泉荘日記
2011/10/17
横浜の黄金町にて開催中の黄金町バザール。以前の冷泉荘日記のなかで、エオリアン・ハープを設置中との記事を書き、黄金町の魅力とその活動を綴りましたが、今回は展示をより一層楽しんでもらえるようにとエオリアン・ハープづくりのワークショップを開催してきました!自分で木を選び、加工し、自分のエオリアン・ハープを作ります。そして、すばらしい風の吹く大岡川の橋の上で、みんなでそれぞれのエオリアン・ハープの響きを楽しみました。


こちらが、キット。木材の箱を作って、琴のように弦を張り、ふたをつけて完成です。最もオーソドックスなタイプのエオリアン・ハープです。


自己紹介をして、なぜエオリアン・ハープなのか、いきさつをお話。今回の黄金町バザールは、ぼくの先輩方が「生成音楽ワークショップ」という音楽が生成される現象・過程を、先人たちの作品や楽器から体験するワークショップをしており、バザール出品作品として展示を行なっています。「生成音楽ワークショップ」では、これまでにスティーブ・ライヒのペンデュラム・ミュージック(振り子の音楽)やアルヴィン・ルシエのロング・シン・ワイヤー、リチャード・ラーマンのトラヴェロン・ガムランに引き続く形でエオリアン・ハープが選ばれ、ぼくを招いての展示となっています。ライヒの振り子の音楽は、藤枝守先生の授業のティーチング・アシスタントでぼくも作品の再現を手伝っていたり、ルシエのロング・シン・ワイヤーはエオリアン・ハープ的な作品としてぼくの論文でも取り上げております。さらに、トラヴェロン・ガムランの真似事として、ぼくの自転車にはスポークをはじくものをとりつけていたりしており、過去の生成音楽の活動からエオリアン・ハープに引き継がれる流れに強いシンパシーを感じています。特に、ルシエとは類似の体験を、異なる現象の中から感じることができ、エオリアン・ハープの体験がさらに興味深く感じられるだろうと思っています。
さて、そういったいきさつとともに、エオリアン・ハープに関する歴史的な展開、発音原理をお話し、まったくエオリアン・ハープの音がどういったものかを聴くことなくエオリアン・ハープのことを話し、いったいなんなんだ?という疑問をたくさん抱かせた上で、制作に入ります。


まずはお気に入りの木材を選び、一番重要なチューニングピンをねじりこみます。それからボンドでどしどし木材を固定して箱を作ります。
場所は階段広場。階段のようになった部分が特徴的な高架下のスペースで、半屋外な空間で制作です。電車の通る音と、電車の産み出す風が特徴的な場所です。みんな集中して作っていきます。
製作時間はおよそ3時間。


最後に弦を張り、鳴るかどうかのチェックで、まずは走ってみます。自分が風になることで、どのくらいの風が必要なのか、風の強さを体感します。

そして、非常によい風、強く一定の風が吹く大岡川の上の橋でみんなでエオリアン・ハープを並べてみます。
立てたりして、どしどし聴いていきます。
みんな、鳴った!
エオリアン・ハープは、生の音を聴いてみると、ぐっと印象が変わる不思議な楽器です。どことなくふいに現れるエオリアン・ハープの響きは、さらに日常的な状況におかれることでますますその”ふいに現れる”性質を強く感じさせます。
未体験の方には、ぜひとも体験していただきたいなぁと思います。
黄金町では、黄金町バザール開催期間中、ワークショップで作られたエオリアン・ハープの貸し出しが行われております。また、冷泉荘にもひとつ、エオリアン・ハープのキットを置いております。気軽に借りることのできるエオリアン・ハープは、おそらく日本では黄金町と冷泉荘だけでしょう。ぜひとも、紀元前から人々を魅了し、魔法や伝説とまでされていた”風の神さまのための楽器”の響きを、体験してみてください。
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2011/10/10
九州大学芸術工学部・芸術工学府の井尻寮。ぼくもかつて4年間住んでいた、とっても思い出深い場所。通称・芸工大井尻寮の中庭にて、井尻寮主催、ぼくら廃材楽器のサウンド・リノベーション・バンド共催で「みやたけ楽器工作室」と題した、みやたけ小学校の生徒さん対象の廃材楽器づくりワークショップが10/9(日)に開催されました。気持ちの良い汗もじんわりかいてしまうほどの晴天の中、みんなで廃材と向かい合い、楽器を作っていきます。
参加にあたって、参加者は楽器にしたいもの・楽器にしたい廃材/いらないものを持ってきています。それを、ぼくらがもってきた廃材と組み合わせながら、自由な楽器へと作り替えていきます。はてさて、どんな楽器ができあがるのやら。時間をかけて、作りたい楽器も廃材の組み合わせから考える、イマジネーションと観察が鍵となるワークショップです。



まずは、ぼくたちの自己紹介と、これまで作ってきた廃材楽器の紹介。みんな、ぽかーんとなっています。




でも、廃材を”音の素材”としてみてみる・さわってみると、みんな喜びはじめます。
叩いたり、吹いたり、空気を流しこんでみたり、むしろもうちょっと壊してみたり、集めてみたり、ころがしてみたり、
いろいろと、いじっていきます。
廃材とともに、音にふれていく。そういうプロセスです。
そして、ひととおり廃材にふれると、みんなちょっとこまっていきます。ぼくらもいつも、いったん廃材にふれ、音にふれ、そしてそれに満足すると、いったん途方にくれる。はたして、これから何ができるのだろう。どう組み合わせたらよいものか。。。と。でも、この廃材がなんだか気になる。。。となってくると、それを軸として、イマジネーションがぴりりと刺激されて、小さく動き始めます。
途方にくれてみる。
これが、廃材に出会ったときの、大事なプロセスです。




さてさて、子供たちも動きはじめました。とりあえず動き出してみるんです。

できた!

できたー!

でっかいのできたー!
呪術的に使われそうな形・音のもの、かっこいい楽器らしい形・音のもの、スケールのでかいもの。形も大きさも、演奏方法も、まったく異なる楽器が、生まれてきました!廃材楽器の面白さは、おもいがけない出会いと組み合わせ、それを結びつける柔軟で繊細なイマジネーションが融合されて、得も言われぬ不思議な説得力のあるモノが生まれてくるところにあると思います。それはまさに、錬金術のようで、異界からの来訪のような姿・音をもったものとのコミュニケーションがこれからはじまるという、未来を生み出します。過去に捨てられたものが、出会いの中で未来をつれてくる。子供たちは、それをもっとも直接的に楽しんでいるようにみえました。実に、刺激的な時間でありました。
これらの井尻寮にてつくられた廃材楽器は、同じく井尻寮にて開催される井尻音楽祭にて演奏とともに披露されるそうです。
開催日は10月15日(日)(雨天時は翌週に延期)。お楽しみに!
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2011/9/29
少し報告が遅くなってしまいましたが、9/8(木)から9/13(火)まで、韓国と日本のアーティストの交流作品展が開催されました。アジア美術館・アートスペーステトラとともに冷泉荘も展示会場となり、釜山のアーティスト4名が展示を行いました。冷泉荘会場は冷泉荘ギャラリーとMEギャラリー、そして冷泉荘の外側です。




冷泉荘全体に、建物とコラボレーションするように作品を展開するのは、キム・キョンファさん。建築廃材から生み出された猫や鳩たちが、当時の姿を残しながらもつぎつぎさまざまな姿に生まれ変わっていく冷泉荘に集まっています。
まるで、自分のうちに帰ってきたかのようなしっくり感。
非常に馴染んでいるので、とくに階段に置かれた猫に驚いたり、非常に生生しく作られていることもあって怖いという印象を受けた方も多いかと思いますが、それほど冷泉荘に近しい存在であり、妖怪や幽霊がふとした瞬間にぬっと現れたように感じることがあるように、近しい存在だからこそ異界の訪れを感じさせるスイッチの役割をもはたしていたのかもしれません。
体の継ぎ接ぎな感じも、それでもなお生きているという強いメッセージを感じさせます。あまりにダイレクトであるために、より”怖い”存在となっているのかもしれません。
さて、そんなショッキングでもあり、猫好きにはたまらない展示となったキョンファさんの作品。冷泉荘ギャラリー内では、壁を削った部分あたりにこちらも建築廃材から作られた鳩が集まっています。



まるで、削った壁を餌に集まっているかのよう!もしかして冷泉荘の廃材が鳩になって飛び立ったのが、帰ってきたような。。。などいろいろとストーリーを考えてしまいます。
冷泉荘ギャラリーでは、キム・ボムスさんのクスっと笑ってしまう楽しい絵も飾られています。さまざまな手法・タッチで描かれており、多様さが同居して不思議な世界観を作っています。人によって、視える作品が違ってきそうなほどに多彩。そして配色が実に美しい。そして、絵の隣には、すごく気になる形のモビール!エアコンの風によって、あやしくうごめきます。






そして、奥の壁には、映画のフィルムのように配置された写真。キム・チャンオンさんの作品です。切り取られた映画を観ている人々の姿が、映画のダイジェストのように整然と並べられています。フルクサスの作品で、出演者がひたすら観客を見続ける作品がありますが、それを思い起こさせるとともに、写真として固定されたその一瞬の人々のしぐさ、表情にイマジネーションがツンツン刺激されます。
2階のMEギャラリーでは、プリヤ・キムさんの写真展。プリヤ・キムさんとお母さんの身体を一緒に撮影した写真。非常に似ていて、どちらがどちらかわからなくなるような部位も。親と子、似るということ、そして微妙な差異。改めてじっくりと観てみると、本当に、似るのだなぁと思えてきます。



冷泉荘が、日本人の感覚とはやはり少し違った、それでいて共通する意識もあるような。
今回の展示では、言葉の問題もあってぼくからは冷泉荘の思いやテーマを伝えたりできてはいません。それでも、展示作家の方々はそれぞれの形で、作品を含めてコラボレーションするように展示場所を選んでいるように感じました。
とても、馴染んでいるのです。
それでいて、普段はまったく見ないような光景。その日常にひそむ異界な感覚がとても面白い展示でした。
特に、キョンファさんの作品は本当に強烈です。

なんと、よこちょうさんが水をあげていました!
冷泉荘のこういうところが、すごく好きです。

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2011/9/11
8月中に工事が行われ、8月27日の「冷泉荘 夏の見学会」にて初公開となった、冷泉荘に新たに登場したシェアオフィス「THE SHARE 冷泉荘」。改装工事も無事におわり、現在入居者募集のための準備が進んでおり、まもなく募集できるかといった状況です。ここでは、今回の主な改装部分、元・お風呂に着目してご紹介しましょう。

バァァァ〜〜〜〜〜ン!
こちらが、改装前の元・お風呂!白いタイルで囲まれ、さらに一部はもっと古い水色の小さいタイルが貼られた部分。
そしてタイルの上に乱雑に塗りたくられた接着剤の跡。元・お風呂だったこの部屋は、タイルの上に壁紙が貼られ、普通に「部屋」として貸されていた過去があります。しかもそのときに、猫屋敷化していたそうで、ぼくが初めて入った1年前には、とてもノーマスクではいられないほど強烈な異臭がこもっていたものです。その強烈な臭い、まるで血の跡にも見えそうな接着剤の跡、そしてほとんど廃墟だった雰囲気から、一部のマニアを除いて多くの方から避けられていたお部屋。
まずは、もしかして、釜とか出てくるんじゃあーないかな!?っと期待を集めた、上げ底を取り除いてみたところ。

石がしきつめられていました。。。
そして、それとともに、天井の跡など、少しずつ明らかになる元・お風呂の実態。
実はこの1部屋で男・女別れたお風呂があったようです。そして、もしかしたらどーんと大きな湯船の真ん中を銭湯のように壁が仕切って、お湯は下でつながっているひとつのお風呂だったのかもしれないという説が有力です。
まさに、ミニ銭湯がここにあった、そんな感じです。そして、女風呂だと思われていた2階部分は、もともと畳の部屋で、お風呂の休憩スペースだったり管理人室だったりしたのではないか、となっています。
さてさて、この部屋、実は2階とつながっています!
2階の奥の部屋には、お風呂の湯船を連想させる四角い穴が。。。


のぞいてみると、ぽっかりと!


完成すると、はしごがついていました!水を連想させる水色のかわいいハシゴ。
これで、3室が空間的・空気的にも連結したシェアオフィスができあがりました。
じつはこの1・2階のつながりは、今回の1番のこだわりの部分でもあります。この穴がなかった場合、単に2室+1室になってしまいます。お互いの交流、情報交換・共有をするために、直接声が届くような、そういうしかけがシェアのコンセプトには不可欠であり、空間からシェアのコンセプトを強く感じさせるものとなります。穴を覗きこんだら目が合った、それはとてもうれしいことですし、それだけで多くの情報が共有できます。声が届き、顔が見える状況、そしてアクセスしやすいこと。このあたりが、ぼくたちの考えるシェアオフィスで一番重要であり、部屋の中にいくつも小部屋を作るスモールオフィス的シェアオフィスとは決定的に違う方向を指し示しています。

さらに、はしごを降りた部屋からは、A11号リル・ベーグルさんのお部屋へも出ることができます。さながら、シェアオフィス専用のカフェへ行く気分。無垢な(様々なカラーに染められる素質を秘めた)ドアを抜けると、まったく雰囲気の異なるリル・ベーグルさんの心地良い空間。
もちろん、これらの部屋も、完成の暁には、櫛田神社さんにお願いして竣工祭を。


この感覚は、ぜひみなさんに体験していただきたいです。
ですので、あえていまのところは全貌の写真の掲載をふせています。ぜひともご気軽にシェアオフィスのお問合せをして、見学にいらしてくださいませ!
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現在、THE SHARE冷泉荘の1階、リル・ベーグルさんの奥の部屋にて冷泉荘と大森ロッヂ展が開催されております。冷泉荘が団地系長屋スタイルだとしたら、大森ロッヂは昔ながらの平面的に広がる長屋スタイル。羽田空港から近い、大森町にある大森ロッヂ。場所は違えど、共通点や似た特徴が見いだせる大森ロッヂと冷泉荘。それでいてはっきりと異なる部分もあり、それぞれの取り組みだけでなく、微妙な差異のなかからそれぞれの土地性も垣間見える、そして、賃貸住宅の現状にたいする2つの実験的な試みを同時にみることができ、賃貸住宅というものを今後どう考えていくのかといったことまで思いを巡らせるパネル展示となっています。
大森ロッヂ展にさきがけて、ぼくも大森ロッヂに見学に行って来ました。
思っていた以上に静かでしっかりとした佇まいの大森ロッヂ。結界に守られるように、気軽に覗いてよいのか迷ってしまうオーラがあります。このオーラこそ、大森ロッヂの”オープンでセキュリティの高い”ということの源です。周囲を囲う大和塀は、正面からみると壁となり、横からみると隙間からみることのできる構造をしており、知らない人が入ってきても、塀の中から確認できるようになっています。また、下の方には植物を植え、覗かれにくくするとともにゴミをポイ捨てされにくくしているそうです。
ちょっとした一工夫で知らない人が入りにくくいたずらされにくい心理を生むようになっています。敷地内には砂利もしかれ、足音でも判別できるようになっています。オープンにして、逆に情報を得やすいようにすることでセキュリティを高めています。それにしても、入り口の裸電球と「大森ロッヂ」の表札がとてもかわいらしいです。



大森ロッヂの”ロッヂ”は、山小屋的に人が集まるロッヂのイメージと、”路地”がテーマとなっているそうです。
なるほど、敷地内の通路はまるで路地のよう。


路地の途中には、みんなの憩いの場と、井戸。そして、路地を抜けると大森ロッヂの中央的なところに空き地が。ドラえもんの空き地のような空間で、もちつき大会や夏祭り、上映会などさまざまな催しが行われています。土管がほしくなりますね!


そして、裏側にくると。。。モダンなお家的に!入り口がたくさんついていて、1軒を間敷って、しかもその後ろの2階建ての建物とセットで、アトリエ+中庭+お家という楽しいおうちに!右の写真が、大森ロッヂの管理人さん的存在の天野さんのアトリエ。


なんと、2階にはブランコが!!
中庭は、緊急時に避難できるように、お隣とつながっていて、その間を「木」で仕切っているそうです。マンションですと、緊急時にはブチ破ってくださいという防火戸で仕切られていますが、ここは木です。実にすばらしいアイディア。
お互いに声もかけやすく、気軽におしゃべりできちゃう空間でもあるそうです。



そして、かわいらしい天野さんの、とってもかわいらしいお部屋も見せていただきました。小物の収納の仕方がすばらしい!ぼくも帽子がたくさんあるので、こういう”見せる収納”はたまらないですー!そして、とてもシンプルなお部屋。なんて居心地のいい。。。
2階はお隣の”おうち”だそうですが、その階段下がバスルームに!
パズルのように組み合わされ、それぞれが路地でつながった大森ロッヂ。本当にすばらしいところでした。
これは、実に住んでみたいです。。。
*みんなのあこがれ!大森ロッヂのことをもっとしりたいなーと思った方は、ぜひ、冷泉荘A棟1階のリル・ベーグルさんの奥の部屋まで足をお運びください。
また、ぜひすてきな大森ロッヂのホームページにもアクセスしてみてください!
http://www.omori-lodge.net/
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