掃除中の楽しみ(痕跡を探り想像して)

2018年もあとすこし、、、

冷泉荘はレンタルスペースでのイベントが12月30日まであり、今年も賑やかに年末を迎えております。

大掃除でまとめてやるのも大変なので、12月はじわじわっと日常清掃の時間を増やして、普段掃除できていないところにも目を配るようにしていますが、毎年一番悩むのが、、、ドア!

冷泉荘、60年の中で塗られたペンキが微妙にはがれかかっているところがあちこちあって、その剥がれもステキなんです。

ホコリも、掃除している人間がこういうのもナンですが、ガンプラ等プラモで言う所のウェザリングのように、ホコリがディテールを際立たせて渋いかっこよさを生み出しているところもあります。なので、日常清掃で一番気を遣っているのが、古いけど汚くなく、汚れているようでけっこう綺麗という絶妙な戦引きです。掃除は、毎日1〜2時間かけていますけど、やりすぎないようにどこまでするか、いつも冷泉荘と対話するようにチェックしながら掃除をしているつもりです。

で、一番のなやみどころがドアなんです。冷泉荘のドア、60年かなり頻繁に使われている部分で、またいろいろと貼ったりもしていますのでペンキが剥がれかかっているところが多いです。でも、人の出入りでホコリもたまりやすい。。。でもホコリを掃除するとペンキが剥がれてしまう。。。このせめぎあいにいつも悩みます。

さてさて、そんなドアのことを考えていることの多い12月、いつもより入念にドアを観察していましたらようやく冷泉荘の住居時代のドアがどんな色だったのかがみえてきました。ぼくがはじめて冷泉荘に訪れたのは2008年なので、住居当時のドアの様子は知らないのです。。。オーナーや昔冷泉荘に住んでいた方に聞くのが一番なのですが、そこはあえて聞かず、探偵気取りで自分で調べて想像しながら掃除をするのが日常の楽しみなんです。

冷泉荘のドア、2006年から現在のように集合アトリエとしてのプロジェクトがスタートしてから、ドアは各入居者さんによって自由に塗り替えが可能になっています。カラフルでとても楽しいそのドア、各所にみえるペンキの剥がれからかつての痕跡を探りました。

ドアをよーく観察してみると、どうも最初は鉄部の錆止めのえんじ色をベースに、明るめのシルバーが、ドアやドア枠、階段手すりに塗装されていたようです。ドア枠は、明るめのシルバーからグレーに近いシルバーに塗り替えられた模様。

その後の塗装は、ドアプレートなどをはずさずにそのまま塗り替えたようで、ドアプレートにだいぶ痕跡が。。。

ドアは、A棟B棟ともに明るめのシルバーのあと、薄めのピンクに塗り替えられ、その後スカイブルーに塗り替えられていたようです。ドアの塗装剥がれ跡や、ドアプレートのふちに色の塗り重ねの跡がみられます。

事務局のドアは、現在は白ですがやはり水色の下地とさらにその下のシルバーらしきものがみえている部分があります。ただ、A31号・A32号・B44号のようにスカイブルー系の色あせた雰囲気ではなく、少し濃い目のシアンに近い色味ですので日々の色あせがA31号やA32号のような渋爽やかな色へと変化させたのだなぁと感じられます。

そこで謎が出てくるのが、現在、冷泉復元部屋として昔の間取りを残しているお部屋のドア。ここは、薄めのピンクのドアで、どうやらその後のスカイブルーに塗り替えられていない様子。。。かつての時代から、ここは何かしら残していく宿命を帯びていたのかもしれません。

こうやってじっくり観察していくと、汚れも愛らしく感じてきてしまう。。。さて、どこまで掃除をしたものか。。。

冷泉荘のドアは今後もどんどん塗り替わっていくと思います。それと同時に、層として歴史が積み重なっていきます。その痕跡を想像しながらみていくと、ほんといつまでたっても冷泉荘のかつての姿がおぼろげで、奥深くて、とても楽しいです。

そして、その想像する時間がたのしいので、正解がどうとかはあまり関係ないのかもしれません。でもみつけたい、そのノリが、めっちゃたのしい。

ぜひみなさんも、大掃除をしながら、建物の痕跡・歴史探しをしてみてくださいまし。

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