なりきりの魅力

3/9から、アジア美術館にて「仮面ライダーアート展」(http://faam.city.fukuoka.lg.jp/exhibition/detail/70)が開催されております。平成ライダー大好きな管理人としては、まさにブレイブな展示!特に平成ライダーのベルト・武器はそこそこ集めて、半年ほど前から冷泉荘事務局にもってきて飾っておりますので、ときどき子どもたち(大きなおともだちたち)の遊び場になったりもしています。でも、なんでこんなに集めるようになってしまったのだろう。

今では、仮面ライダー555で行われたような、ライダーベルト争奪戦が現実でもおこってきていて、転売屋さんたちの暗躍もあってベルトの入手が非常に難しく、Twitterやmixi、2ちゃんねるなどSNSを中心に情報戦がくり広げられているわけでして、そうした状況がさらにライダーの世界を盛り上げているように感じます。特に仮面ライダーダブル以降、ライダーグッズ、なりきり玩具を買うことがとてもポピュラーなものとなってきているように感じまして、ディケイドにて扱われたようなライダー世界の侵食が本当に起こっているようにも錯覚できてたのしいです。

実はぼくは昭和ライダーはアマゾン以外ほとんど観ずに育ってきており、仮面ライダー龍騎のストーリーに衝撃を受けて平成ライダーのとりこになりました。ストーリーだけでなく、龍騎で王蛇のかっこよさにシビれ、アギトでG3-Xのシブさにシビれ、クウガはグロンギ語にシビれ、と龍騎から戻るように観て、そして出てきたファイズのデザインの衝撃。でもオープニングのLEDで光りまくるかっこ良さにシビれ、はじめてベルトを買います。まさか大人になって自分用のライダーベルトを買うなんて、と当時は恥ずかしさもあったものの、ユニークなアイディアにあふれたなりきり玩具のとりこになっていきます。それからは、気になったものを中古で買って、というくらいだったのにいつのまにか。。。

なりきり。ファッションも多様化し、コスプレも普及して、いまではきゃりーぱみゅぱみゅのようにオルタネイティヴなファッションも人気となってきていて、なりきりが日常化してきています。さきほどの、ライダーグッズを持っている人が増えたように感じる背景には、こうしたなりきりカルチャーの日常への浸透があるかと思います。そして、正義を問い続け、多様化する正義を描いていく(あるいは、アイデンティティやコミュニティの獲得)平成ライダーは、ヒーローへのあこがれよりも、なりきることそのものへ重きを置いて玩具展開をしているように思われます。

そんななか、ぼくは変身ポーズをマネしたり、コスプレしたりとそこまでのなりきりはしません。変身シークエンスを堪能したらすごい満足なんです。この、そこまで気合をいれないなりきりが好き。そこはもう、イマジネーションの世界でもあります。想像の中で遊びます。その入口でありスイッチが、ライダーのグッズ。

冷泉荘事務局においているライダーグッズのなかで人気があるのは、フォーゼ、メテオ、オーズ、ダブル、アクセルといった子どもたちが観ている作品のベルト(ウィザードはなんだかんだで大人気なので破壊されそうでまだ持ってきてません)、知らないらしい作品ではイクサベルト、ディエンドライバーやファイズブラスター、ギャレンラウザーといった銃型、そしてなにより人気なのは意外と怪人たちのアイテム「ゾディアーツスイッチ」「ドーパントメモリ」だったりします。だってこっちのがかっこいいもんってよく言われています。

怪人の変身アイテムは非常に簡素で、ギミックもスイッチを押したら音が鳴るくらい。なのに大人気。しかも、みんな他のベルトや武器より丁寧に扱って、ゆっくりとかみしめるように押します。ポーズを真似したりはせず、本当に噛み締める感じで何度も押します。

このとき、ぼくはなりきりの魅力を強く感じます。音と光(と回転)の圧倒的な満足感!イマジネーションで強くなった感!

特に平成ライダーでみられる奇抜で予想外なシステムと手順が、まるでシャーマニックな儀式のように、日常的な状態から異界へと、そして変身というイマジネーションの世界へと導きます。

肉体の動作とともになりきるもよし。イマジネーションでなりきるもよし。アート作品にふれてビビビッと感覚が鋭くなって日常よりもなんだかふわりと超越した感覚をえたときのように、ライダーのベルトや武器でのなりきりは、日常を異化してくれる、単なるおもちゃ以上の感覚を与えてくれるすばらしいアイテムです。おもちゃの流行の縮図でもあり、ロングテールなビジネス展開にも興味深い仮面ライダーの世界。多様な要素が複雑に入り乱れた結晶としてのひとつの形、ライダーベルト。あなたも触ってみませんか?

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