釜山のアーティストに彩られる冷泉荘。WATAGATAアーツフェスティバル

少し報告が遅くなってしまいましたが、9/8(木)から9/13(火)まで、韓国と日本のアーティストの交流作品展が開催されました。アジア美術館・アートスペーステトラとともに冷泉荘も展示会場となり、釜山のアーティスト4名が展示を行いました。冷泉荘会場は冷泉荘ギャラリーとMEギャラリー、そして冷泉荘の外側です。

冷泉荘全体に、建物とコラボレーションするように作品を展開するのは、キム・キョンファさん。建築廃材から生み出された猫や鳩たちが、当時の姿を残しながらもつぎつぎさまざまな姿に生まれ変わっていく冷泉荘に集まっています。

まるで、自分のうちに帰ってきたかのようなしっくり感。

非常に馴染んでいるので、とくに階段に置かれた猫に驚いたり、非常に生生しく作られていることもあって怖いという印象を受けた方も多いかと思いますが、それほど冷泉荘に近しい存在であり、妖怪や幽霊がふとした瞬間にぬっと現れたように感じることがあるように、近しい存在だからこそ異界の訪れを感じさせるスイッチの役割をもはたしていたのかもしれません。

体の継ぎ接ぎな感じも、それでもなお生きているという強いメッセージを感じさせます。あまりにダイレクトであるために、より”怖い”存在となっているのかもしれません。

さて、そんなショッキングでもあり、猫好きにはたまらない展示となったキョンファさんの作品。冷泉荘ギャラリー内では、壁を削った部分あたりにこちらも建築廃材から作られた鳩が集まっています。

まるで、削った壁を餌に集まっているかのよう!もしかして冷泉荘の廃材が鳩になって飛び立ったのが、帰ってきたような。。。などいろいろとストーリーを考えてしまいます。

冷泉荘ギャラリーでは、キム・ボムスさんのクスっと笑ってしまう楽しい絵も飾られています。さまざまな手法・タッチで描かれており、多様さが同居して不思議な世界観を作っています。人によって、視える作品が違ってきそうなほどに多彩。そして配色が実に美しい。そして、絵の隣には、すごく気になる形のモビール!エアコンの風によって、あやしくうごめきます。

そして、奥の壁には、映画のフィルムのように配置された写真。キム・チャンオンさんの作品です。切り取られた映画を観ている人々の姿が、映画のダイジェストのように整然と並べられています。フルクサスの作品で、出演者がひたすら観客を見続ける作品がありますが、それを思い起こさせるとともに、写真として固定されたその一瞬の人々のしぐさ、表情にイマジネーションがツンツン刺激されます。

2階のMEギャラリーでは、プリヤ・キムさんの写真展。プリヤ・キムさんとお母さんの身体を一緒に撮影した写真。非常に似ていて、どちらがどちらかわからなくなるような部位も。親と子、似るということ、そして微妙な差異。改めてじっくりと観てみると、本当に、似るのだなぁと思えてきます。

冷泉荘が、日本人の感覚とはやはり少し違った、それでいて共通する意識もあるような。

今回の展示では、言葉の問題もあってぼくからは冷泉荘の思いやテーマを伝えたりできてはいません。それでも、展示作家の方々はそれぞれの形で、作品を含めてコラボレーションするように展示場所を選んでいるように感じました。

とても、馴染んでいるのです。

それでいて、普段はまったく見ないような光景。その日常にひそむ異界な感覚がとても面白い展示でした。

特に、キョンファさんの作品は本当に強烈です。

なんと、よこちょうさんが水をあげていました!

冷泉荘のこういうところが、すごく好きです。

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