廃材楽器の活動

現在、「サウンド・リノベーション – みいだされた音、あるいは場の記憶 -」と題した楽器の展示を、九州大学藤枝研究室のメンバーで行っています。ぼくも藤枝研究室出身者であり、そのプロジェクトに関わっています。

冷泉荘には、30年ほど前からためこまれた廃材が眠る部屋がありました。ほとんど開かずの部屋になっており、開けると入り口まで物がたくさん!これらをそのまま捨てるのは惜しい。冷泉荘の地下で、人知れず冷泉荘の動きを感じていたはずです。まるで、セミの幼虫が地下で長く時をすごし、あるとき地上に出てくるように、ぼくらの手によって地上に現れた廃材は楽器として生まれ変わりました。4月にスタートしたプロジェクトですが、セミの鳴き声が増えていくのに呼応するように、楽器の数を増してきております。

廃材は、素材として不思議な魅力があります。閉ざされた部屋にはかつて虫たちが活発に蠢いていた痕跡があり、布団は土のようになりはじめていました。そのためか、木材も硬いのに柔らかさをもち合わせており、またよく響く素材が多いように感じます。ぼくたちは民族的演奏再現会として毎週水曜日に民族的な演奏スタイルを真似、学習する会を催しておりますが、そのなかで取り上げている中央アフリカのバンダリンダ族は、シロアリによって喰われた木を笛として演奏しています。昆虫たちが穿った穴は、古くから楽器と密接な関わりがあり、人々はそれらの穴に敬意をいだきながら楽器として音をみいだしてきました。先人たちの体験を追体験するように、ぼくらは廃材をみつめ、叩き、吹き、弦をはり、その廃材特有の音をみいだしています。

楽器の制作だけでなく、展示期間中には廃材楽器を用い、廃材楽器からイマジネーションをふくらませた企画をいくつか開催しております。先述しましたが、毎週水曜日には民族的演奏法再現会を開催、簡単なルールから複雑なメロディー/リズム/音響が生み出される民族的な演奏を僕ら自身も含めてみんなと一緒に体験的に学んでいます。楽器は、火災報知器や廃材のパイプなどの楽器を使っています。

また、7月19日には、廃材楽器のワークショップを開催しました。こちらから「この楽器を作りましょう」というのではなく、「ぼくらと同じように、廃材に触れ、自由に楽器を作ってみましょう」というワークショップです。音が鳴る、楽器をつくることよりも、廃材をみつめ、触れ、愛着をもつことを主体としました。簡単な楽器を…とみなさん多少弱気につくりはじめますが、いざつくりはじめると、アイディアをモリモリ出し始め、15〜30分で作っていきます。そして、音が鳴ったときの笑顔!やはり楽器はいいですね。

ぼくは楽器を作るくせに、ギターやピアノのような楽器の演奏はできません。だからこそ、エオリアン・ハープのように僕ではない力が演奏する楽器の制作や研究してきました。でも、誰も正しい演奏法のわからない楽器たちが、廃材のなかから生み出されてきています。むしろ気兼ねなく、楽器にどんどん触りはじめています。気づけば、よくわからない演奏をひたすらしていたり、そこに誰かがのっかってきたり。楽しいです。ある音楽の起源。ハリー・パーチの著書のタイトルですが、まさにそれに関わることのできる活動だと感じております。

まだまだ未熟ですが、メンバーが集まると自然とセッションが始まります。ガムランのように楽器もみんな次々と変え、流動的で自然な音楽。心地良い。サウンド・リノベーション・バンドとして、いろんなところへ演奏しにいければと画策しています。

さて、長くなりましたが、廃材楽器の展示およびワークショップの中間報告的日記をいったん締めようと思います。

28日(水)19:15からは民族的演奏法再現会「一日一民族」、30日(金)19:00からは廃材楽器トークセッション「冷泉百物語」。「一日一民族」の模様はぼくのボイスブログ(http://www.voiceblog.jp/hakkeifujindantai/)にて録音をアップしております。「冷泉百物語」の詳細はこちら→http://www.reizensou.com/event/soundrenov_talk/

廃材楽器制作はこの後も、阿蘇などいろいろと拡大していく予定です。制作メンバーおよび演奏メンバーを随時募集中!!ご興味のある方は、冷泉荘事務局までおたずねください。

杉山

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